急病人が出たときの心がけ

救命処置

意識のない人、息をしていない人、脈がない人を見つけたら、一刻も早く救命処置を行う事が命を助ける鍵となります。
救命処置はCPR(Cardio Pulmonary Resuscitation)といい、ABCの順に行います。

◆A.Airway 気道の確保

意識がなくなると、舌の根元が落ちこんだり(舌根沈下)、吐物・異物で気道(口や鼻から肺までの空気の通り道)を塞ぐ事があり、気道を開く気道の確保が第一に重要です。

(1)舌根沈下で気道を塞ぐ場合

1.意識があるかどうかを確かめる。
軽く叩くか、身体を揺すって「どうしましたか?」と声をかける。
2.助けを呼ぶ
意識がなければ「誰か来て」「119番をして」等と助けを呼ぶ。
3.倒れている人を仰向けにする。
できれば硬くて平らなところに仰向けにする。

4.気道を開いて気道を確保する。
主に2つの方法があります。
(ア)頭部後屈/おとがい挙上法
患者の額にそっと手を当てて、そのまま頭を後ろにそらします。そして、おとがい(下顎)にもう一方の手を添えて上に引き上げます。
最も一般的で、人工呼吸がしやすい方法です。
以前は首の下に手を入れて頚部をそらせるようにしていたが頸椎の保護という視点からすすめられない。
(イ)下顎押し出し法
慣れている人は、患者の頭側に立ち両手の親指を上顎にかけて残りの指を下顎にひっかけます。
そして上顎を下に押し付け下顎が前にくるようにします。いわゆる「うけ口」になるようにします。頭部を後屈させる必要はなく、ポケットマスクを用いた人工呼吸に適しています。

(ア)頭部後屈/おとがい挙上法

(イ)下顎押し出し法

(2)吐物・異物で気道を塞ぐ場合

口の中に血液やたん、吐物や異物がある場合は気道を塞いでいるので、取り除いて気道を開きます。
1.指校叉法、ぬぐい出し法
患者を横向きに寝かせ、指を校叉させながら口を開き、口の中の物を指で取り除きます。

2. Heimlich法
口の更に奥の気管・気管支などの異物を取り除くために、腹部や胸部を瞬間的に強く圧迫し出させようとする方法。

意識のない場合の上腹部圧迫挙上法

意識のある場合の上腹部圧迫挙上法

3. 乳幼児の場合
乳幼児は前腕に腹ばいにまたがらせて背中をたたきます。

◆B.Breathing 人工呼吸

気道を確保しながら、息をしていない人には人工呼吸を行います。

1.息をしているかを確かめる
胸部・上腹部の動きを見て、また口・鼻からの空気の出入りを耳で聞いたり、頬で感じて、息をしているかを調べます。 2.呼吸があれば気道の確保をし続け、救助を待つ
3.呼吸がなければ人工呼吸を行う


(1)口対口呼吸法(mouth to mouth method)
額を押さえている手で鼻をつまみ、深く息を吸った後、患者の口を自分の口でおおい、患者の胸が膨らむ(上がる)のを確認しながら、ゆっくり(1~1.5秒) 息を吹き込みます。続いて、患者の胸が沈み、口から入れた空気が出るのを確認します。上手く入らない時は、気道の確保をやり直すか、気道を塞いでいるものがあれば取り除きます。

(2)口対鼻人工呼吸法(mouth to nose method)
口が上手く開かない場合や、口にケガがある場合は、顎を押さえて口を閉じ、患者の鼻を自分の口でおおい、(1)同様に息が上手く入っているかを確認しながら息を吹き込みます。
新生児では、口・鼻両方に口をかぶせて息を吹き込みます。
自分の口で行う人工呼吸では、肝炎やエイズなどの感染症に充分な注意が必要である。

4.人工呼吸は成人5秒に1回、乳幼児は3秒に1回を続ける。

◆C.Circulation 心臓マッサージ

気道を確保しながら、息をしていない人には人工呼吸を行います。

1.脈があるかどうか確認する
人工呼吸を2回した後、のどぼとけと首を少し斜めに走る筋肉の間を指で触れ、脈をうつ頸動脈を探します。

2.脈があれば人工呼吸を続ける。
3.脈がなければ心臓マッサージを始める
胸を圧迫する事で、心臓の中の血液が全身に送り出されます。

(1)マッサージの正しい位置を見つける
指を肋骨にそってずらし剣状突起を見つける。そこから頭の方に約4~5センチの位置です。

(2)正しい手の置き方
両手を重ね、手の肉のよくついた部分を正しい位置に置く。指は少し浮かせておきます。

(3)正しい姿勢と押し方
両肩を患者の胸の真上に持ってきて、両肘をまっすぐに伸ばしたままで、上半身の体重を利用して垂直に押します。1分間に80~100回程度押します。

(4)乳児の場合
乳頭を結ぶ線と胸骨が交差する点より、約2センチ足よりを指1~2本で押します。1分間に100回程度胸が1~2センチ程度下がる程度に押します。

(5) 1人で行う場合は、心臓マッサージ15回、次に人工呼吸2回。
2人で行う場合は、心臓マッサージ5回、次に人工呼吸1回。
これを繰り返します。

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